就職活動のためのキャリアハンドブック
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■ 学部3年生 企業の採用選考時期は大学院の出願時期と重なることが多いので、就職か進学かの決断はエントリーシートの提出がはじまる3月頃には済ませておきましょう。また、この頃には大学での研究室配属や研究テーマの決定もあるため、面接試験では研究内容も詳しく質問されることが多いようです。自分の研究内容、特に研究の目的や研究の独創的な点については、専門外の人にも理解と評価ができるようにわかりやすく説明することが大切です。■ 大学院修士1年生 大学院生は、授業、研究、学会発表など色々と多忙です。学業・研究と就職活動を両方ともに成功させるためには、しっかりと計画して確実に実行することが大切です。研究室の先輩や仲間とも相談しながら、効果的に進めましょう。3 理系学生の場合は、専門性を活かした就職が可能ですが、職種や配属先が所属学科・専攻によって左右されたり、また限定されたりすることがあります。自分と同じ学科・専攻の先輩が過去にどのような企業に就職し、どんな仕事に就いているかを知っておくと、自分の将来像をイメージするのに役立つでしょう。所属の研究室や専攻にリクルーターとして卒業生たちが訪問することがよくあるので、彼らに尋ねるなどして入社後の配属先や職種について理解しておきましょう。ただし入社後に配属先を決めるのは企業側ですので、仮に希望と異なる職種や配属先を提示されたとしても自分の「可能性」を広げる好機と受け止めることができると、そこでの経験で身に付けた貴重な知識やスキルが将来の希望部署で大いに役立つことにもつながるので、狭い考えに縮こまらない態度が大切です。4 企業は、理系学生の専門性やスキルに期待すると同時に、学業や研究で身につけた創造力、洞察力、計画性、向上心、忍耐力、さらには組織で研究に取り組む際の協調性や積極性にも注目します。面接試験では、研究内容だけでなく、研究を通して身に付けた自分らしい力を正しく伝えられるよう準備して、指導教員や研究室の仲間、先輩、キャリアセンターのアドバイザーなどを相手に面接練習をして、客観的な意見や助言をもらっておくと役立つでしょう。■ 研究内容の説明について 面接試験では文系社員が対応することもあるので、専門家にしか理解できないような特殊な語句を用いて話すことは禁物です。わかりやすい言葉で研究概要を論理的に説明することが重要です。研究内容の説明では、背景、目的、結果に加え、研究遂行過程における自分独自の発案や工夫にも言及し、さらに学会発表や論文投稿などの業績にも触れると、研究能力が高いことを伝えることができます。また、研究を通じて身に付けた情報収集力や結果をまとめて報告する力や研究仲間と協調する力などもしっかりと伝えることができると、バランスの取れた人物像として高い評価を受けることが期待できます。■ 課外活動からのアピールポイントも 学業・研究面のスキルや能力も大切ですが、企業組織で働くうえでは優れた協調性など良好な人間関係を構築できる力が求められるので、自分のコミュニケーション力やチームワーク力などについて伝えることも大切です。その際には研究室内での体験の他に、部活やサークル、アルバイトなどの課外活動での経験についても話すことも効果的です。135 一般に、文系就職においては、専攻分野における専門的知識やスキルが強く求められるというよりは、本人の能力、適性や資質などの総合的評価に基づいて選考されることが多いようです。そのため、理系学生であっても文系就職は可能です。ただし、専攻分野に関連する仕事を選ばず文系職として働きたい理由を企業側に明確に伝えることが必要です。エントリーシートや面接試験においては、理系分野の学びを通じてどんな強みを習得したか、志望する企業でどう貢献したいのかを説得力をもってアピールすることが重要です。 理系分野の学業や研究の中で身に付けた知識や技術などの専門性を、国家公務員または地方公務員の技術職に就いて活かすという進路もあります。公務員試験の過去問を見て出題内容が大学で学んだ専門知識と重なる場合は、この進路が自分に適している可能性があります。受験に際しては、計画的、効率的に対策することが大切です。技術系公務員(技術職)学科・専攻と職種・配属先理系学生に求められているものさまざまな進路文系就職について5

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