■このガイドブックの目的 2 就職活動をはじめる東京科学大学生へのメッセージ2027 年 3 月に本学を卒業・就職する学生向けに「就職ガイドブック」をお届けします。二次元バーコードを使って本学ウェブサイトにもアクセスしやすくしています。就職やキャリア(職業を中心とする人生の経験の連鎖、蓄積)を考える際には、まずこのガイドブックを一読し、東京科学大学生の就職活動やキャリアの特徴をよく理解してください。 今年度から、このガイドブックを、東京科学大学を卒業後、おもに民間企業に就職することを想定している学生向けに発行します。■東京科学大学2024 年 10 月に東京医科歯科大学、東京工業大学という伝統と先進性を兼ね備えた実学の雄である二大学が統合しました。新しく誕生した東京科学大学は、旧二大学の卓越性を引き継ぎ、「新産業と新医療の創出」「先端研究を通じた教育」「危機に立ちむかう姿勢」の3つのエスプリを持ちます。 とくに、旧東京医科歯科大学が COVID-19 パンデミックの際に都内で最大数のコロナ重症患者を受け入れ、旧東京工業大学が東日本大震災後の福島第一原子力発電所の廃炉プロセスに対して継続的に支援を行ってきた「危機に立ち向かう姿勢」は皆さんの記憶に新しいと思います。この 3 つのエスプリは、東京科学大学のエスプリであるとともに、旧二大学の学びの特徴とそれを活かして卒業生達が社会でどのように活躍してこられたか、ひいては社会から卒業生への期待を表すものでもあり、これから就職活動を始めようとする皆さんにぜひ知っておいていただきたいと思います。旧東京工業大学も旧東京医科歯科大学も、少人数で教員と学生の距離が近い恵まれた環境のなかで高い専門性を身に付ける教育が行われてきました。 理工学系の前身である旧東京工業大学には、「煙突のあるところ蔵前人あり」という言葉 があり、卒業生のエンプロイアビリティ(employability, 役に立てること)は世界的に高く評価されてきました。これは、専門分野においては「学理と実理」の両方を重んじ、また、教養教育(リベラルアーツ教育)が重視される伝統の中で育った学生達が、卒業後に世界中で活躍し、150 年をかけて積み重ねた社会からの高評価の蓄積の結果といえるでしょう。医歯学系では東京医科歯科大学の時代から、研究と臨床の双方が高いレベルで行われ、卒業生は、世界中から優秀で信頼できる「知と癒しの匠」たる医療人として高く評価をされてきました。これからは、名称に「科学」を冠する大学の卒業生として、みなさんは、本学で学んださまざまな力を「『科学の進歩』と『人々の幸せ』を探求し、社会とともに新たな価値を創造する」ことに活かすキャリアを構築されることになると思います。■研究活動を大切に大卒段階の就職活動やインターンシップ参加の目的は、企業、仕事、そこで働いている人の実際に触れることを通して、皆さんにとってのこれからの長いキャリアの最初の第一歩をどこから始めるかを決めることだと思います。一方で、大学の研究室での研究活動は、単に卒業資格を得るための活動ではなく、 皆さんが学系、専門分野に関わらず長期的に幸せなキャリアを構築するために必要な「仕事の基礎力」を身に付ける、非常に重要な活動になります。就職活動の中では必ず研究について聞かれる機会があるので、研究にしっかりと時間をかけ、具体的な成果が出ていてもいなくても研究について企業の方に話ができるよう準備をして■ Science Tokyo で培った力を人々の幸せのために活かす東京科学大学副学長(学生支援担当)伊東 幸子はじめに
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