急激な需要の増減は起こりにくいが、少子高齢化や国内人口の減少により、国内市場は中長期的に縮小する見込みとなっていることから、各社は新たなマーケットとして海外市場の開拓に注力している。食品業界では、時間短縮・簡便化志向に対応した商品の販売が好調。共働き世帯の増加に伴い、冷凍食品や加工食品など、すぐに食べられる商品の需要が高まっている。また、消費者の健康志向は継続中。各社は健康機能を打ち出した高付加価値商品の開発に注力している。新型コロナウイルス感染拡大による飲食店への営業自粛要請の影響を受け、酒類の業務用販売が大きく落ち込んだ。一方で巣ごもり需要により、家庭用加工食品は伸びを見せている。天然資源ゆえの生産量の変動や鮮度維持の重要性、少量多品種などの商品特性もあって、国内では産地市場と消費地市場という二段階の卸売場を経由する。近年は冷凍・加工技術の普及や輸入品の増加により、市場外流通も増加傾向。世界的な資源枯渇が叫ばれており、水産各社は養殖事業への展開も強化している。123123業界の動向ハム類、ソーセージ類、ベーコン類などの製造、食肉の卸・販売が主要事業。需要は底堅いが、原料高、物流コストの増加が各社の収益を圧迫している。大手企業は人気商品の生産に注力し、特に糖質や塩分カットといった機能性に特徴のある商品を主力に据えている。また、冷凍食品や加工食品の海外展開など事業拡大への動きも活発。牛乳のほか、バター、チーズ、ヨーグルト、アイスクリームなどの乳製品を製造している。嗜好の多様化や少子高齢化を背景に主力商品である飲用牛乳の生産量が減少する中、2015年4月より開始された「機能性表示食品」制度や健康志向の高まりを受けて、機能性ヨーグルトが好調に推移している。現在は各社が開発力を活かし、海外市場開拓へ向けて動いている。国内主要企業例国内主要企業例国内主要企業例国内主要企業例DM三井製糖HD国内最大手。三井物産系。日本甜菜製糖製糖準大手。国産甜菜糖では国内トップ。国内主要企業例国内主要企業例国内主要企業例特集/業界研究[食品]マルハニチロ水産国内最大手。漁業・養殖だけでなく家庭用冷凍食品も。日本水産水産加工食品に強み。魚を原料とした化成品も手がける。極洋水産品の貿易・加工を手がける。業務用のすしネタも強い。日清製粉グループ本社国内トップ。パスタなどの食品も強い。ニップン国内2位。加工食品・バイオ関連も展開する。日清オイリオグループ国内業界最大手。日清、リノール、ニッコーが統合し誕生。不二製油グループ本社 食用油脂大手。油脂加工品なども展開する。高砂香料工業香料国内トップ。飲料や食品向けの香料がメイン。長谷川香料香料国内大手。飲料・食品向けのほか、化粧品・トイレタリー向けも。日本ハム食肉業界首位。海外展開も積極的に進める。伊藤ハム米久ホールディングス 16年に伊藤ハムと米久が経営統合。ハム・ソーセージでは国内1位。プリマハム伊藤忠商事が出資。ハム・ソーセージで国内大手。丸大食品ハム・ソーセージ国内大手。飲料・デザートも展開する。エスフーズ「こてっちゃん」が主力商品。丸紅が出資。明治ホールディングス業界国内大手。機能性ヨーグルト「R-1」が好調。森永乳業 乳製品大手。紅茶飲料「リプトン」も展開する。雪印メグミルク11年に雪印乳業と日本ミルクコミュニティが統合。チーズ・ヨーグルトが好調。食肉加工牛乳・乳製品水 産砂 糖小麦粉 食用油香 料
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